今日もまたトニー・ガトリフ監督の映画の話です。
先日、トニー・ガトリフ監督の「イ・ムヴリーニ:テラ」という映画を観ました。
コルシカ島出身の「イ・ムヴリーニ」というバンドのドキュメンタリー映画。
1996年の作品だけど、全編モノクロ。
すごく面白かったです。
最初、「イ・ムヴリーニ」の人達は、イタリア語のように聞こえる言葉を話しているのですが、突然フランス語になったりします。
調べてみると、どうやらイタリア語のように聞こえる言葉は「コルシカ語」という現地の言葉のようでした。
全編を通してフランス語とコルシカ語が入り混じっていて、とても不思議な感じがしました。
映画を観終わって、コルシカ島の事を全然知らない事に気付きました。
知ってるのは、ナポレオンの出身地ということぐらい(笑)
フランスではコルシカ島の事を「コルス」と言います。
フランス領です。
コルシカ島の下の大きな島は「サルデーニャ島」でイタリア領です。
コルシカ島は13世紀頃から、イタリア半島の都市国家「ジェノヴァ」が統治していたのですが、1729年に独立戦争が始まり、それを抑えきれない「ジェノヴァ」がフランスに派兵を頼み、その後、フランスとコルシカ独立政府との戦争になり、1769年にフランスが勝利し、その後フランス領になったそうです。
こうした歴史背景から、今でも民族主義運動が激しいようで、映画の中でも「イ・ムヴリーニ」のライブに警察が来るシーンがありました。
コルシカ語で歌う事に問題があるようでした。
「イ・ムヴリーニ」の音楽はコルシカ島の伝統音楽がベースになっていて、「ポリフォニー」と呼ばれる、複数の男性がアカペラで歌う歌がすごく特徴的です。
節回しはフラメンコみたいな感じですが、リズムは無く、ゆったりとしています。
どこか「グレゴリアン・チャント」のようでもあります。
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あと、映画の中で、即興で詩を作って歌い合うラップバトルのようなシーンがあり、とても興味深かったです。
これもコルシカ島の伝統文化のようでした。
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サントラを探してみたのですが、うまく見つからず、
(そもそも存在してるのかな?)
「イ・ムヴリーニ」は今でも活動しているようですが、最近の音源は映画の雰囲気とは随分違いました。
Spotifyで色々聴いてみると、初期の物が気に入ったので、一枚フランスから取り寄せてみました。
I Muvrini「Anu da vulta」。
素朴な音楽で、とてもいいです。
「ポリフォニー」をベースにした曲もあります。
興味のある方は、是非聴いてみてください。
Sotifyはこちらです。
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